甲子園球場のアルプスタンドを伝えた男

甲子園球場開場から5年後の1929年。
年を経るごとに膨れ上がる観客を効率よく収容するため、内野スタンドと外野スタンドの
間に建設した特別スタンドが、甲子園球場名物「アルプススタンド」。

この名をつけたのは、芸術家、岡本太郎の父、岡本一平ということは
よく取り入れられる高校野球豆知識。

その当時、朝日新聞記者であった岡本一平氏がスタンドを埋めた白シャツの群集を見て
「素敵ニ高ク見エル、アルプススタンドダ、上ノ方ハ八万年雪ガアリサウダ」と
言葉を挿入した漫画を朝日新聞で発表したことから世に知れ渡ったのです。

ただ実際のところ、まだ小さかった息子の太郎が「アルプスみたい」と言ったのを
借りてきたとも、と登山家であり同僚記者でもあった藤木九三しが
「これは偉大だ。まるでアルプスのごとく壮大である」と
感動した言葉を拝借したといろいろな説語り継がれているわけです。

しかしながら岡本一平氏は、甲子園球場誕生のはるか以前、
1917年の夏第3回選手権大会から朝日新聞で漫画記事を掲載し続け、
毎日高い評価を得ていたことはそれほど知れ渡っていない。

もしも「アルプス」と命名していない場合でも、野球文化を紡いだ
人だということに間違いないのです。

球児たちの姿を伝え頑張り続けた「穂洲節」

早稲田大学野球部初代監督であり、野球指南書『ベースボール』シリーズを
世に送り出すなどの功績で「学生野球の父」と言われている、飛田穂洲(本名忠順)。

ライフワークとされて、甲子園高校野球大会と球児たちの姿を論評し続けたのです。

「一球入魂」や「千本ノック」という言葉を作ったことを通じても
明らかだが、飛騨穂洲氏が唱えた精神主義的な野球道には、今なお批判もけっこう多い。

しかしながら、勝者を讃えるにとどまらず、敗者をねぎらう小気味のいい
「穂洲節」にはファンもたくさんいる。

『ベースボール』シリーズの初版は1927年。

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飛騨穂洲氏の死後、1972年に『飛騨穂洲の高校野球入門』として
焼き直され、1980年代まで版を積み重ねてきた。

これほどまでに読まれ維持し続けた野球入門書は他の追随を許さない。

1917(大正6)年
夏第3回選手権大会優勝 愛知一中(愛知)

1929(昭和4)年
春第6回選抜大会優勝 第一新港商(兵庫)
夏第15回選手権大会優勝 広島商(広島)

甲子園高校野球 女子マネージャーベンチ入りを譲った選手も

甲子園高校野球は女人禁制、女子部員参加への長い長い道のり。

女性の甲子園高校野球参加としては、1949年に取り入れられた
プラカードガールから。

けれども、それとて開会式での一幕。
試合が始まれば、また「女人禁制」の甲子園グラウンド。

フィールドに立つことことさえできずにベンチ入りすらすることができない
時代が長く継続した。

その女人禁制の変化が生じたのは、1996年夏第78回選手権大会から。

これまでだと担当教師か控え選手がベンチでスコアブックを
付けていたけれども、この大会から、選手とは別枠でスコアブック担当
メンバーが「記録員」となってベンチ入りができるようになる新制度を採用します。

選手ではありませんので、女性でも任に付けることになるのです。
この新制度に合わせて、9校の女性マネージャーが記録員として登録され、
選手たちと一緒に、甲子園球場のベンチ入りをできるようにする。

記録員制度元年には、次にあげるようなドラマもあった。
ベンチ入り女子マネージャー第1号となったのは、東筑(福岡)の三井由佳子さん。

福岡大会では3年の男子部員が記録員としてベンチ入りしていて、
甲子園高校野球でも男子部員が担当とされていたが、
「福岡大会から3年でベンチ入りできていないのは、三井由佳子のみ。
 甲子園高校野球では三井由佳子さんがベンチに入って欲しい」と
自分から身を引き、三井由佳子さんにチャンスを譲りました。

このようにしてずっと夢見ていた甲子園高校野球ベンチ入りを実現した三井由佳子さん。

東筑の敗退後、譲ってくださった男子部員の心の内を思いうかべ、涙を流したのです。

女子球児が甲子園球場でプレーをする日は

女子マネージャーをめぐる騒動としては、2016年夏第98回選手権大会で起きる。

「グラウンドから退場事件」も発生する。
原則的に記録員はベンチ入りできても、練習時や試合中にグラウンドには立てない。
というような謎ルールがあって、ある女子マネージャーが練習補助をやっていたら、
大会関係者から「グラウンドの外に出て行くことに」と注意をされている。

これには全国から非難殺到!

翌春の選抜大会からは、ヘルメットを付けるなど条件を満たせば、
ベンチから出て練習サポートが行えるように規則が改定されている。

また、女子マネージャーの問題とは別にして、全国には男子部員に
一緒になって、練習に仲間入りする女子選手も存在する。

ベンチ入りで騒ぐ以前に、
「女子部員も公式戦に出場できるようにして欲しい」といった声も噴き出ている。

オリンピックでは「男女同権」が至上命題の今の時代、
高校野球はどちらへ向うのか、”次の100年”に向け議論するテーマの1つ。

1949(昭和24)
春第21回選抜大会優勝 北野(大阪)
夏第31回選手権大会優勝 湘南(神奈川)

1996(平成8)年
春第68回選抜大会優勝 鹿児島実(鹿児島)
夏第78回選手権大会優勝 松山商(愛媛)

2016(平成28)年
春第88回選抜大会優勝 智弁学園(奈良)
夏第98回選手権大会優勝 作新学院(栃木)

2017(平成29)年
春第89回選抜大会優勝 大阪桐蔭(大阪)
夏第99回選手権大会優勝 花咲徳栄(埼玉)

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